シートォングの考察編

今回の旅(2000年12月21日〜2001年2月27日)は70日間の旅でした
もし これを日記形式で書くと次回の旅行までに連載が終らない事に、、  
だから今回のシリーズは日程を前後して1つ1つの事について感じた事
考えた事を順不動で書いていきたいと思います
勿論日記形式での記載も一部に残しますが順不同の書き方をご了承ください

1 到着
バッグの中身はスリランカ用のプレステoneとその日の着替えを 除けば
ハムや納豆 稲荷寿司の皮など送れないものがギッシリと詰まってる
日常生活に必要な物はバンコクで買えるから何も持ってきていない、、

空港のATMで少しキャッシングしたら あらら現金残高が僅か???
前回帰る時に50万B以上入っていた筈だけど???
カミイにいつもは限度額を抑えたVISAを持たせているけど
家の建設資金としては少し不足かなと思ってバンコクバンクのカードの
1日の限度額が2万Bのカードと取り替えておいた、、、

でも車と今回の小さな家の合計で40万Bで済まそうという計画だった
車が中古で13万Bだったから(既に支払いは済んでる)
残り27万Bを引いても 25万B位は残ってる筈だった、、、

そのお金でエアコンやベッド等の支払いをするつもりだったのに、、
あの馬鹿野郎 なんでこんなに金が必要だったんだ、、、
まあ24日にはサコンに行くんだから原因は判るだろう、、、

21日から24日(実質的には22と23日の2日間)はスリランカ行きの
チケットをネット予約しておいたから受取る為と肉類等を買うために
時間的な余裕をもってバンコク滞在としました
(お会いした方々 写真のイメージ通りでしたか?)

田舎でも牛肉などは手に入るけどタラートで蝿がブンブンと舞ってる肉なんか
買いたくないし 例え政府の管理がしっかりした衛生的な輸出公社で買っても
アメリカやオーストラリアの輸入牛より少し硬いし、、

24日のクリスマスイブに現地到着だから生クリームケーキも持っていきたい
掲示板で3件教えてもらったけど何処のが美味いのだろうか、、

彼等 俺が以前送ったスケベビデオじゃ見飽きてるから
VCDのモロ見えのも 買っていかないと、、
村の子供達には新しいTVゲームソフトを幾らか持って行ってやりたいし、、

自分の服も1ヶ月分 上下30枚は持っていかなくちゃ
1日着たら村の奴らにあげちゃうから安いので良いのだけど数が数だけに、、
(俺って1日着たら洗わずに そのままプレゼントする習慣がついてる)

その結果 充分な時間的余裕が有る筈が買物やケーキのチェックに時間が
かかり昼間から大変に忙しい時間を費やす事になりました、、

夜はメールで会う約束をした人との時間を除けばハントに専念
ゲイバーには1回しか行かなかった、、、
スクンビットのソイ3と5の間の黒人たちのハントやバイクの運チャンを、、
(この話は少し後で書きたいな、、)

ケーキは中村のにした それはクリスマス前の忙しい最中に 特注に応じてくれたから 
それからオリエンタルはズーッと昔 家を建てる時 誰だったか忘れたが案内してくれて
ケーキを買った所だった、、 今も昔も変わらぬ美味しさで懐かしかった、、、

そんな訳であっと言う間に日にちが過ぎてサコン行きの24日になった
到着して愕然とした!! そこには変わり果てた姿のカミイが!!


2 到着パートII
TG78は昼過ぎにサコンに着いた
バンコクで買い込んだ荷物を合わせると40Kg近い重さ
カーゴを使って到着ロビーへ

カミイの姿が見えない?代わりに耳が多少不自由なピアンが、、
後にアミタとティウの姿も見える ピアンに荷物を預け「カミイは?」と聞く
「車に、、」って返事 どうして此処に来ないんだ?

そこにヨロヨロとした足取りで痩せ衰えた 髭ボウボウのカミイが現れた
「どうしたんだ!?」彼は弱々しく微笑む、、、
立ってるのがやっとの姿、、無理して車から降りてこなくていいのに、、

彼を見るまで金を何に使い込んだか聞くつもりでいたが それどころじゃない
車に乗り込んで出発してから「どうしたんだ?]ってもう一度訊ねた
「手術して」って言うから怪我かと思ったが病気したらしい

ウ”ィを切り取ったって言われても俺そこまでタイ語に詳しくない
内臓なのは判るが盲腸じゃない、、、本人いわく
「死ぬかと思った メチャ痛かった」との事

切り取って大丈夫かって聞けば 20年生きた人も居るって答える、、、
後で部位を紙に書いてもらったら左右の肺の中間の上部に丸をつける
そこって胃より上じゃん??? 結局判らずじまい、、、

彼話すのも車の振動も堪えるらしい時々顔をしかめる、、
最初の会話で手術後18日と思っていたら18日の間違いだった
わお!それって まだ1週間も経ってない 退院して大丈夫???

俺が来る為に無理に退院を早めたらしい
命に別状は無いようだが「手術前は痛くて死ぬかと思った」との事
後で見た手術の傷は結構大きい 10cm位を縫い合わせてあった

いつもなら卵や野菜を買い込んでいくところだが今日は直行で家に向かう
早く彼を寝かせてやらねば、、無理して迎えに来なくてもティウで充分なのに
アミタは久しぶりにお父さんと一緒に居られて嬉しそう
おとなしくカミイの隣に座ってる、、(早いもので もう4歳)

3ヶ月前に通った道 懐かしい村が見えてきた
そして家が近くに見えてきた 隣近所の人が微笑んで挨拶してくれる
今回は俺の歓迎もだけどカミイの退院の分も含まれて笑顔が祝福に見える

我が家に到着 あぜん! 彼が何にアレだけの金を使い込んだか判明!
なんだこれは! そしてもっと後になって判ったが使い込んだ金は
それだけじゃ無かった どうするの! 200万円以上も使っちゃって!


3 家
前回 帰る時に現在の家の道路を挟んだ斜め前に新築予定の家の敷地を
買って建ってた家を排除して更地にしておいたのは以前に書いた通りです
そこに盛土をして地面からUPして土が固まるのを待つ予定でした、、

3ヶ月位ほっておけば地盤が硬くなるから それから基礎を行なう予定だった
盛土は済ませてあったが なんと家の基礎工事が始まってた、、、
しかも予定では敷地面積の半分以下の家で残りは庭にするつもりだったのに
計画の倍以上の大きさの敷地面積いっぱいに基礎工事が終ってた、、、

12畳の部屋を挟んで2室の6畳の部屋にそれぞれ別に浴室を付ける
それが最初の計画だったけど目の前にあるのはその倍以上のサイズ、、、
しかもコンクリートから床のタイルまで既に山ほど買い込んで積んである、、

この家が27万Bで建つ訳がない、、何を考えてるんだカミイは?
俺だってタイの物価は知ってるから暗算でおよその金額はわかる、、、
この家 安い材料を使ったとしても50万Bは掛るし俺が買う材料ならもっとだ

今の家が「日本人でも住める家」のランクで作ったが新築の家は
「日本人が満足できる家」にするつもりで計画した
つまり以前の家は外観や面積にこだわって「見栄えのする家」だが
今回は「外観はこじんまりと派手さを排除して内装をしっかりと」の予定だった

床面積で言えば以前の家は2階建てで大きいけど今回は平屋の予定
敷地面積も小さいはずだったから部屋の面積は1/4になる筈だった、、
つまり家が出来あがってから後の設備にかけるお金を多めに予定してた

だいたい今回の新築目的は幾つかあるが
1 俺が歳をとれば今の2階までの階段が疲れる
2 部屋からトイレまで遠いので行くのが面倒
3 ホンナーム(浴室、トイレ)の設備が貧弱
4 友人が遊びに来た時の為にプライバシーが守れる部屋を増やす
5 両親がもし来たら老人ホーム並みの設備が必要
6 アミタが大きくなれば俺が男を連込むのを見せるのは教育に悪い
7 男達が恥かしがらないで入りやすくする為
8 もう少し「日本人にとっての住みやすさ」を追求したい
9 上記を考えなくてもゲストハウスとしてカミイの収入源の確保
  (これは俺が居なくなってからの話)

あぁ、、こうなったらついでだからプール付きの豪邸でも造るか(かなりマジ)
でもカミイ今すぐには必要無い床タイルまで何で買ったんだ??
これを見たら俺の普通預金が何処に消えたかだけは判ったけどね、、、

そして50万Bじゃ足りないからもっと現金がいる事も、、
遊ぶ予定の金が無くなりそう、、嫌な予感は まだ続いた、、、


4 クリスマスイブ
空港に着いたのが昼過ぎの4時頃だったから家に着いたのは5時頃
後1時間ちょっとで暗くなる 大急ぎで持ってきた生鮮食料品を冷蔵庫に入れる
1階の冷蔵庫には食事用を 2階のにはケーキや温度に弱いチョコレート等
暗くなる前に今晩の相手の予約をしておかないと
退院祝いを兼ねた家族そろってのイブのパーティで外に出られなくなる、、、

ウッをみつけたから「適当に見繕って」3人位9時過ぎに連れてくるよう頼む
いつもならチャムローの仕事だが彼が見当たらない、、、
まあ それでも目的は かなったから良いけど、、

来る前に伊勢丹で出来合いのトンカツやエビフライを買ってきて良かった
カミイは到着するなりベッドへ食事の時間まで滑り込んだから
下手したら今日の食事を自分で作らなければならない処だった、、

カミイは日本に居る間に日本の味を覚えてるから作れるけど
ティウじゃ作れないし仮に作っても不味いもの、、、
まあ米くらいなら炊けるけどね、、、

彼等はクリスマスは知ってるがクリスマスイブの祝い方は知らない
だから田舎で迎える初めてのイブについての説明から、、
そして昔 家を建ててる時に持ってきたのと同じケーキ持参の事も伝えた

カミイは生クリームケーキは以前に食ってたし勿論知ってるけど
ティウはその頃は居なかったし(10歳以下の子供だったはず)
アミタにとっても生まれて初めての生クリームケーキだ

しかも今回はアミタ用は真ん中にカスタードプリンを挟んだ特注
俺達用はスポンジケーキに薄めのブランディを染み込ませた特注
勿論 普通のスタンダードタイプも持ってきた、、

ちょうど退院祝いを兼ねたクリスマスのホームパーティだ
安物だけど現地産のSPYってワインソーダをシャンペンがわりに、、

彼の結婚パーティの時に買ったクリスマス用の100連 点滅豆球は
まだ使えるかな?、、OKだった(ツリーが無いのが残念だけど、、)
ティウは俺が準備をしてる間に彼ら用のタイのご馳走を作ってた

「カミイ起き上がるのが大変ならそっちにテーブル持っていこうか?」
「座るのは大丈夫」

カミイがATMから引き出したときの支払い用紙と買った領収書を持ってきた
俺が彼に何もお金の事を言わなかったから まだ知らないと思ってるらしい
先手を打って謝ってしまおうって作戦だな、、、

あれ?通帳と何かの権利書みたいなのも一緒に持ってきた?
俺の通帳は自分で持ってるから それは誰の分? その紙は?
彼はその通帳を俺に差し出した、、、

ぐえ〜アミタが大学まで進学できるように彼名義にして渡しておいた
100万Bの通帳が半分になってる!まさかの時はこれを使っても良いと
許可は出しておいたが いったい何に使ったの?!!
外の家の材料は俺の通帳だけでも釣が来るでしょ!


5 イブの長い夜
金額には驚いたが彼が実行してしまった以上 元に戻る訳じゃない、、
自由に扱えるようにしておいた こちらにも落度がある
今 責めるのはやめよう 何か考えがあっての事だろうし、、
もし友人が同じ事をしたら俺は許さないだろう しかし彼は家族だ、、

「カミイ金額は判ったよ でも今はアミタもケーキを待ってるしロウソクに
 火を点けて始めよう 訳は後で話してくれないか」
そう思い言いながらも今回の旅行計画がガラガラと頭の中で崩れていった、、

だって今回持参してきた現金は60万円だけ しかも半分以上はスリランカ用に
考えてたお金 あの国では殆どATMを見る事が無いから現金が必要だし
まだ盛土の段階だから今回ここで金が必要だとは思わず あの預金残高は
旅行費用に充てても構わずバーツが安い時に補充しようと思ってた、、
(6月には平成3年に預金した郵便貯金の利息が転がり込むし、、)

アミタが夢中で食べてる!ティウも美味そう カミイは本日退院の為
用心してブランディの入ってるケーキは避けた 俺ケーキだけで腹一杯
彼らはティウが作った料理を食べだした 

今日はサコンに寄って欲しいものをクリスマスプレゼントとして
買ってやるつもりだったけど明日ヤクルト等の買出しを兼ねて行くから
何が欲しいか考えておいてねって約束した

俺はウッが早めに3人連れて来たから2階への階段を登った
でもHする前から多少がっかりしてた、、だって数分で終る奴ばっかり、、
新人は居なかったから今までの経験で、、、始める前から判ってた、、

3人合計しても時間は40分も経っていない  帰りに1切れずつお礼と共にケーキを、、
残りは明日まで取って置いて親や兄弟に少しずつ、、

アミタとティウが寝る頃 カミイが2階に苦しそうに上がってきた
話なら1階でも良かったのだが彼の希望だ、、

話をまとめると 彼は手術しなければならないって診断された時に死を覚悟した
それは手術後に亡くなる人が多かったし その前から痛みがひどかったから
バンコクの設備が整った大病院での手術も出来たし俺がそれに文句言わない
のも彼は解っていたが遠く離れた医者の実力も解らない人を信ずるより
地元で評判の医師を信じる事にしたらしい

結果 病院代は6000Bと信じられない安さ 切り取ったのは俺の推測では
すい臓だと思うが内蔵各部位をタイ語で言える程には詳しくない、、
ただし彼は保険に入ってるから回りの人も同じ料金かは定かでない

病気が判った時に彼はアミタの事を考えた 自分も小さい時に父親を無くし
辛かった少年時代を考えるとアミタに同じ思いをさせたくない
だから彼女がどうすれば食べていけるのかを考えた時に田畑を買増す事にした
そうすれば小作人が働いて出来た作物の取分で楽に生きていけるだろう

お金で残しておくと まだ未成年のティウが計画性なく使ってしまう恐れがあり
将来が心配だった(俺が取戻そうとするかどうかを考えたかは定かでないが)
だから今迄に彼に田畑を売りたいと声をかけた人の条件が良い物件を買い占めた

勿論売った人もこれまで通り その田畑で収穫を得る事ができるから困らない
収穫の一部は納めなければならないが代わりに まとまった現金が手に入る
土地は年々値上がりするから将来換金したとしても損はない

半分は俺やティウを信じる事にしたらしく現金で残す事にしたらしい
まあ今迄に買った田畑と今回の分を合わせると昔の地主が所有してた半分以上が
彼の物になって村一番の地主に既になってるって事情もあるけど、、

俺に知らせなかったのは反対されるかもしれないし
仕事を中断してタイに来るなど俺に心配させない事を優先したらしい、、

家を大きくし建設を急いだのは俺をこの地に留める為の苦肉の策らしい
俺の名義の預金を許可された以上に使えば批難されるのは判っていても
建築が始まった家を途中で投げ出す性格で無い事を彼は知っていたし
居心地の良い家にしてこの地に留まって もらいたかったからだと言う
俺が去るか留まるかは娘のアミタの将来に大きく左右するから、、

このごろのカミイ ちっともタイ人らしくない 普通タイ人が考えるか こんな事?
俺の教育の成果と言えばそれまでだが ならば俺の自業自得と言わねば為るまい


結論
たとえ普通の男女の信頼できる夫婦の仲であろうと
自分の金銭を相手が自由に使える立場におかない事
もしその立場においた場合 今回のように自分の意図する方向とは
まったく違う使われ方をされてしまう可能性がある
そうなった時に貴方は相手を笑って許せますか?

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